ひらがなの覚え方
急がせずに、遊びのなかで読めるようになる進め方
2026-08-23(2026-10-14 更新)・チームねおき
「同じクラスの子はもう読めるらしい」——そんな話を聞くと焦りますが、ひらがなを覚え始める時期も、覚えるまでの速さも、子どもによって大きく違います。この記事は「何歳までに」と急がせるためのものではなく、子どもが興味を持ったときに、遊びのまま進めるための順番をまとめたものです。
順番はひとつだけ——「読み」が先、「書き」はあと
ひらがなの習得は、大きく分けると「読み(形と音が結びつく)」→「書き(形を再現できる)」の順で進みます。読みがまだ楽しくなっていない段階で書き取りの練習を始めると、ひらがな自体が「つまらない練習」になってしまいがちです。最初のゴールは、自分の名前の文字がわかること。ここまでは勉強ではなく、遊びで届きます。
読みと書きのあいだには、時間の差があるのが普通です。国内の調査では、ひらがなの半分ほどが読めるようになる目安は4歳後半、書けるようになるのは5歳後半ごろでした(島村・三神, 1994)。あくまで平均で、同じ年齢でも大きく違います。「読めるのに書けない」は遅れではなく、順番どおりに進んでいるしるしです。
生活のなかの遊びで覚える
順序立ったドリルより先に、こんな遊びが入り口になります。
- 名前さがし:絵本の表紙や看板から、自分の名前の文字を見つける。「『あ』があった!」が最初の読みです。
- あいうえおの歌:音の並びを歌で覚えると、表を見たときに「知ってる音」として文字に出会えます。
- かるた・文字カード:読み上げられた音と文字を結びつける遊び。取れなくても読み手役で参加できます。
- 50音表を貼る:お風呂や壁の表は「いつでも指させる」のが良いところ。読み上げてあげるのは大人の役目です。
声かけは「教える」より「一緒に見つける」
「これは『あ』でしょ、覚えた?」と確認が続くと、子どもは表から離れていきます。効くのは、「『あ』、あった!」と一緒に見つけて驚くことと、読めた瞬間に大げさに喜ぶこと。間違えた読みは訂正せず、正しい音をもう一度聞かせるだけで十分です。
表とアプリの使いどころ
紙の表は「いつも目に入る」のが強みですが、読み上げる大人がそばにいないと音とつながりません。アプリはタップすればいつでも音が出るのが強みで、ひとりで遊んでいる時間も文字と音が結びつきます。どちらかではなく、壁に表・手元にアプリの併用が現実的です。
あいうえおのしまは、この記事と同じ順番でつくった無料のひらがなアプリです。子どもが先生役になって、文字を知らない島の人たちに、あ行から1行ずつ教えていきます。1行ごとに、まず文字を押して音を聞く「よむ」、絵と文字を合わせる「パズル」、そのあとで書き順どおりの「なぞり書き」。2〜3歳でまだ書くのが早いと感じたら、おうちの方の設定で「かく」を外して、読みとパズルだけで進めることもできます。
読みあげは、録音すれば家族の声に変えられます。はみ出してもバツ印は出ず、広告もありません。
書きに進むタイミング
読みがある程度そろって、本人が「書きたい」と言い出したら書きの出番です。最初は運筆(ぐるぐる・直線)から、次に自分の名前から。書き順や整った形を求めるのは、もっとあとで大丈夫です。
なぞり書きをするなら、なぞって終わりにせず、同じ字をお手本を見ながら書いてみるのがおすすめです。うすい線をたどるだけのときと違って、形を自分で思い出すことになります(小野瀬, 1991)。うまく書けなくても、なぞる→見て書く、の往復を楽しめれば十分です。
まとめ
読みが先、書きはあと。教えるより一緒に見つける。壁に表、手元に音の出るアプリ。そして何より、急がせないこと——入学までに完璧である必要はなく、「文字っておもしろい」の芽があれば十分です。
参考:島村直己・三神廣子(1994)「幼児のひらがなの習得——国立国語研究所の1967年の調査との比較を通して」『教育心理学研究』42(1)/小野瀬雅人(1991)『入門期における書字技能の習得に関する教育心理学的研究』筑波大学 博士論文